透明な力

敬愛するY先輩に薦められた不世出の武術家 佐川幸義「透明な力」読了。物事の本質を追求していく貪欲な姿勢が肝要なのだと改めて痛感。
最近はこういった物事の本質についてよく考えるせいか、ベストセラーになっているビジネススキル系の類いの本が嘘くさく見えてしまい、書店に行くと30分で身に付くビジネス英語とか無理なく続けられるなんとか法、みたいなマーケティング戦略によるキャッチーなタイトルがついた訳の分からん勉強本や自己啓発本が所狭しと並んでおり、レジ前にも似たような本が積まれていているのをみると、とてもウンザリするわけです。
あらゆる分野で複雑化した世の中において、物事の本質を見極めたい人にはお勧めの一冊かと思われます。どんな分野においても、上達法のメソッドや考え方の本質というのは共通していると思いますが、結局の所そういった本質的な側面をストレートに読者に訴えかけてくる本は結構少ないと感じます。自分が今懸命に取り組んでいる事(仕事や趣味)に置き換えて読むと、直感的に共感できる点も多く、模索している自分から解放されたような気分になりました。禅問答のように、読んでいるとある種の悟りを感じますが、自分にとって耳が痛いところも多く、より人間として成長するために、密度の高い一日を過ごさなければと痛感します。
恥ずかしながら僕は武道はやったことはないですが、かつて武術や武道が日常的に生業とされていた時代、武士や武術家の精神力や肉体は現代人とは比較にならない程超人的だったのでしょう。その時代の武術家が培ってきた強靭な肉体を芯から支える精神や技や体の鍛錬法は、時代の変化とともに廃れてきてしまっていると感じますが、こうした混沌の時代こそ再び求められてもいいと思いますし、なにより自らを磨き上げていくためにも、先人の知恵を見直して研鑽していかなければなりませんね。
本質を突き詰めて行くには、そのものの真贋を見極める能力や、嗅覚や感覚に依存することもあるかもしれないけど、探求を繰り返した果てに、ある日突然気づくものなのだと思います。日々精進です。